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がん保険に係る入院給付金等の取扱いについて
  今回は、がん保険に基づき、入院給付金や診断時給付金等を受領した場合の取扱いについて纏めたいと思います。
1、前提
  以下のそれぞれのケースの場合において、がん保険に基づき入院給付金や診断時給付金及び手術給付金を受領した場合の取扱いをみていきたいと思います。夫は、がん診断を受けたものの入院療養中の状況です。
契約者 被保険者 保険料負担者 保険金受取人
ケースA
ケースB
2、ケースAの取扱い
  保険料負担者が夫本人で、保険金受取人も夫である場合には、所得税が課税されそうですが、所得税の取扱いは以下のようになっています。なお、夫が死亡したわけではありませんので、相続税は課税されません。

  一定の保険会社等と締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金で、資産に加えられた損害に基因して取得するもの、身体の傷害に基因して支払を受けるもの、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金については、所得税が非課税とされています(所法9条@十七、所令30条)。

  また、疾病により重度障害の状態になったことなどにより、生命保険契約等に基づき支払を受けるいわゆる高度障害保険金、高度障害給付金、入院費給付金等(一時金として受け取るもののほか、年金として受け取るものを含む。)は、上記の「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとして取り扱われています(所基通9-21)。

  そのため、ケースAの場合には、保険金を受領したとしても当該保険金に対して所得税が課税されることはありません。
3、ケースBの取扱い
(1)贈与税の課税関係
  保険料負担者が夫本人で、保険金受取人が妻である場合には、妻に贈与税が課税されそうですが、贈与税の課税対象となる保険金は、生命保険契約又は損害保険契約に基づく保険事故で死亡を伴うものに限定されております。そのため、死亡を保険事故としない入院給付金や診断時給付金等については、仮に妻が保険金を受け取ったとしても贈与税の課税対象とはなりません(相法5条)。

(2)所得税の課税関係

  妻は、保険料を負担せずに保険金を受領していますから、贈与税が課税されない場合でも所得税が課税されるかどうかを考える必要があります。
  この点、2で記載した「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するかどうかですが、「その支払を受ける者と身体に傷害を受けた者とが異なる場合であっても、その支払を受ける者がその身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族であるときは、当該保険金又は給付金についても非課税の規定の適用がある」ものとされています(所基通9-20)。
  そのため、ケースBで妻が入院給付金等を取得したとしても、所得税は課税されないこととなります。
4、ケースAの場合に入院給付金等を受領する前に夫が死亡した場合
  ケースAの場合において、夫が入院給付金等を受領する前に死亡した場合においても、死亡を保険事故として支払われる保険金等ではありませんので、死亡後に支払われたときであっても当該保険金自体は、相続税の課税対象となる生命保険金等とはみなされません(相法3条、相基通3-7)。
  ただし、死亡時に入院給付金等の請求権が生じていますので、入院給付金等は本来の相続財産として、相続税の課税対象となります(相基通3-7)。そのため、本来の相続財産として課税されることになりますので、保険金等の非課税の規定(500万円×法定相続人の数)の適用を受けることはできません。
5、まとめ
  がん保険に基づく入院給付金や重度障害保険金等については、金額も多額となるケースも多いと思いますが、保険料負担者(契約者)が保険金受取人でない場合でも、配偶者や直系血族が保険金受取人であれば、相続税、贈与税、所得税いずれの課税もされないこととなります。

  資産家が保険金受取人である場合には、保険金受領時に所得税が課税されない場合でも、その方が亡くなった時に多額の相続税が課税されてしまいますが、子供を保険金受取人とするがん保険に加入し、死亡を保険事故としない保険金を受領した場合には、子供が無税で保険金を受け取れるため、1世代とばすことができ、節税することができます(入院費用等にあてるという本来の保険の目的とずれてしまいますが)。

  受け取った入院給付金等を夫の入院費や手術費に充てなければならないわけではありませんので、医療にかかった費用については、夫の財産から支払うことで全く問題ないことになります。


(2013.05.07)


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