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「相続があった場合」

 相続・合併・分割があった場合には、消費税の納税義務を判断するための基準期間の考え方が少し変わります。今回は、これらのうち、まずは、相続があった場合の被相続人(亡くなられた方)の事業を承継した相続人の納税義務等について紹介します。

【相続があった場合の納税義務】
 相続があった場合に、被相続人の事業を承継した相続人の納税義務の判定については、その相続があった年以降二年間にわたり、下記のように判定を行います。
 但し、この場合の相続により事業を承継した者には、特定遺贈又は死因贈与により事業を承継した者は含まれないため、注意が必要です。(消基通1-5-3(注))

  1. その年に相続があった場合(消法10条1)
    相続人のその年の基準期間における課税売上高により判定


    ①の金額が1,000万円以下である場合には、別途、被相続人の当該基準期間における課税売上高により判定


    ②の金額が1,000万円を超える場合には、その相続のあった日の翌日から、その年12月31日までの期間については、課税事業者となる

    【例】
     相続発生日:×3年7月23日
     相続人は、被相続人の事業を引き継ぐまで、別の事業を営んでいた。
      ×1年 ×2年 ×3年(相続発生)
    相続人(A) 600万円 900万円 450万円 1,000万円
    被相続人(B) 1,500万円 800万円 700万円   

     上記の場合、×3年における相続人Aの納税義務の判定
    1. Aの基準期間における課税売上高…600万円≦1,000万円
    2. Bの基準期間における課税売上高…1,500万円>1,000万円
    3. @及びAにより、Aの×3年度の納税義務については、下記のとおりとなります。
       ・自×3年1月1日 至×3年7月23日・・・免税事業者
       ・自×3年7月24日 至×3年12月31日・・・課税事業者


  2. その年の前年又は前々年において相続があった場合(消法10条2)
    相続人のその年の基準期間における課税売上高により判定


    ①の金額が1,000万円以下である場合には、その相続人及び被相続人の当該基準期間における課税売上高の合計額により判定


    ②の金額が1,000万円を超える場合には、その相続人のその年分については、課税事業者となる

    【例】
      ×1年 ×2年 ×3年(相続発生) ×4年 ×5年
    相続人(A) 600万円 900万円 450万円 1,000万円 1,300万円 1,500万円
    被相続人(B) 1,500万円 800万円 700万円    

     上記の場合、×4年における相続人Aの納税義務の判定
    1. Aの基準期間における課税売上高…900万円≦1,000万円
    2. (A+B)の基準期間における課税売上高
        …900万円+800万円=1,700万円>1,000万円
    3. Aにより、Aの×4年度(自×4年1月1日 至×4年12月31日)については、課税事業者となります。


     上記の場合、×5年における相続人Aの納税義務の判定
    1. Aの基準期間における課税売上高
        …450万円+1,000万円=1,450万円>1,000万円
    2. @により、Aの×5年度(自×5年1月1日 至×5年12月31日)については、課税事業者となります


     また、2人以上の相続人がそれぞれ、被相続人の事業を分割して承継したような場合には、判定に要する被相続人の基準期間における課税売上高については、それぞれ、その相続人が相続した部分に係る金額で行い、もし、相続財産の分割が実行されていない場合には、各相続人が共同して事業を承継したものとして取り扱うため、民法に規定する相続分に応じた割合により按分を行います。(消令21条、消基通1-5-5)

【届出書の効力】
 被相続人が、生前、税務署に対し、「課税事業者選択届出書」、「課税期間特例選択届出書」及び「簡易課税制度選択届出書」(以下、「各選択届出書」という。)を提出していた場合であっても、その効力は被相続人の事業を承継した相続人には及ばないため、注意が必要です。

 従って、もし、免税事業者である相続人が、自ら上記選択を行いたい場合には、新たに各選択届出書を提出する必要があり、また、事業を営んでいない相続人が相続により被相続人の事業を承継し、新たに個人事業者となる場合、又は、個人事業者であった個人が、相続により被相続人の事業を承継した場合に、その相続があった日の属する課税期間中に上記各選択届出書の提出を行えば、それぞれの届出書の効力はその課税期間より発生することとなりますので、検討の際はご留意ください。(消基通1-4-12、同3-3-2、同13-1-3の2)

 但し、簡易課税制度選択のみ、その基準期間における課税売上高が1,000万円を超え、被相続人の事業を承継しなくとも課税事業者である者については、上記の規定は該当しませんので、覚えておいてください。(消基通13-1-3の2(2)ただし書き)

【確定申告書の提出】
 被相続人が課税事業者に該当し、かつ、その年分に係る消費税の確定申告書を提出せずに亡くなってしまった場合には、その被相続人の事業を引き継いだ相続人は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日まで(相続税の申告書提出期限より早いので、注意してください。)に、通常の消費税額の計算に係る事項のほか、その相続によって得た財産の価額等、一定の事項を記載した消費税の確定申告書(中間申告を要する場合には、中間申告書)を、被相続人の納税地の所轄税務署長へ提出し、納税額がある場合には、納付を行わなければなりません。(消法45条2、3、同49条)

 また、被相続人が申告期限後に、申告書を提出せずに死亡してしまった場合には、上記の規定の適用はなく、あくまで、事業を承継した相続人が提出すべき申告書は期限後申告書となりますので、ご留意ください。(消基通17-2-2)

(2009.7.23)



⇒3.吸収合併があった場合についてはこちら

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