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死亡保険金を保険会社に据え置いた場合の取扱いについて

  今回は、死亡保険金をすぐに受け取らずに、保険会社に据え置いた場合の相続税及び所得税の課税関係について、纏めたいと思います。

1、前提
  夫が死亡したことにより、死亡保険金が3千万円支払われることになりました。保険契約当事者の状況は以下のとおりです。

  (1) 保険契約者 :夫
  (2) 被保険者   :夫
  (3) 保険金受取人:妻
  (4) 保険料負担者:夫

  妻は、資金的に余裕があったため、当該死亡保険金をすぐに受領せずに、保険会社に据え置くこととしました。保険会社に据え置くことにより利息に相当する金額が据置金額に加算されいつでも引き出しができることになりますが、この場合の相続税及び所得税の課税関係はどのようになりますでしょうか?

2、相続税の課税関係
  被相続人の死亡を基因として被相続人が保険料を負担していた死亡保険金を妻が取得した場合には、当該死亡保険金を相続又は遺贈により取得したものとみなされます(相法3条@一)。

  なお、妻は、死亡保険金をすぐに取得しておりませんが、保険会社に据え置くとはどのような契約内容かが問題となります。一般的に保険会社に据え置くとは、保険会社に死亡保険金相当額を据え置くことにより、保険会社が利息をつけて運用しているような契約となっているものになります。

  このような据置契約は、死亡保険金を原資として、妻の意思によって新たに締結されたものであり、当初の保険契約とは別個の預金契約であると判断されます。そのため、死亡保険金は、相続発生後、妻に現実に金員が支払われることはありませんが、新たに締結した別個の契約に引き継がれたものにすぎないと考えられるため、いずれも死亡時にその支払を受けるべき権利が確定していると認められます。そのため、死亡保険金3千万円については、相続発生時に相続税の課税の対象となります(H12.11/8審判所裁決)。

  なお、一定の金額については、相続税が課税されないこととされておりますので、以下の算式により計算した金額については、非課税とされます(相法12条@五)。

  500万円×法定相続人の数=非課税額

3、所得税の課税関係
  この据置契約により毎年発生する利息相当額についての所得税の課税上の取扱いですが、当該利息相当額は、雑所得として所得税の課税の対象となりますので、原則として、毎年確定申告をする必要があります(所基通35-2)。

  なお、妻が年金を受領しており、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等の全部について源泉徴収をされている場合において、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときは、確定申告をする必要がないものとされています(所法121条B)。

  また、妻に他に収入がない場合には、昨今の低金利の状況では前提の金額であれば、保険会社から受領する利息相当額が基礎控除額を上回ることはないと思われますので、結果的に納税額は生じないものと思われます。

(2016.8.30)

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